Face to Faceの表紙の人はこうやって選んでいる(3)

前々回前回と、Face to Face紙のメインコンテンツ「Face to Face Talk」について書いています。今回はその3回目です。


前回は情報収集方法についてでしたが、今日は「インタビュー先を選ぶ基準ってあるの?」という疑問に答えたいと思います。

取材対象の守備範囲についてはときどき聞かれることでして、いつもとちょっと違う方向性の人に登場いただいた月には「こういうパターンもアリだったんですか!?意外でした」という声をアンケートでいただいたりもします。

それから取材をお願いする私たちとしても、相手の方に「こういうコンセプトのインタビューなんですよ」というのをきちんと説明できないと、ご快諾いただくのに難儀することになりますので、明確化は大事です。

では、どういう人が「Face to Face Talk」に登場するのか。結論を書いてしまうと

  1. 富士地域にゆかりのある人が
  2. 文化的な活動を
  3. 継続的にやってきている

というのが一応の、言語化された客観的基準、ということになります。

あとはケースバイケースで「読者が読んで納得感があるかな「この人じゃなきゃいけないというユニークさがあるかな」「登場する人に気持ちよく出てもらえるかな」「紹介することで社会の役に立つかな」「別の人(商売敵など)に迷惑をかけないかな」なんてことを気にしながら、最終的に

「普遍的なストーリーがありそうで、そこに私たちが共感できそうな、そんな予感がするかどうか」

で、えいやっと独断と偏見で決めさせていただいています(偉そうですみません)。

なにしろインタビューを申し込む時点ではまだ話を聞いていないので“予感”頼みでしかないのですが、今のところ「失敗しちゃった」なんてことは一度もありません。

「富士地域にゆかりのある人」

私たちが取材するのは、活動の拠点か出身地のどちらかが富士地域という人です。ときには多少の拡大解釈をすることもありますが、ここをまったく外しちゃうと地元メディアとしての意味がなくなってしまうので、ローカル・コミュニティー的視点にはこだわってます。

「ゆかり」とは何かと一言で言えば「富士を心のふるさとだと思っていること」だと言えるでしょう。

富士地域に生まれ、ここでずっと生きてきた人もいれば、最近引っ越してきて富士で活動している人もいます。地域外に住んでいても、ここが主な仕事の場になっている人もいます。逆に、富士から市外・県外・国外に羽ばたいて活躍している人もいます。

富士が心のふるさとであるならば、みんな富士地域コミュニティの一員です。

ちなみに「富士地域」の定義は行政区で言えば富士市・富士宮市ですが、なんとなくで言えば「ほかの山に遮られることなく富士山の南側が丸ごと見える地域」っていう感じのくくり方ですね。ただ最近は沼津市西部地区に配布エリアを拡大した関係で、原のあたりまで富士地域に含めて考えています。原からだと間に愛鷹山が挟まっちゃうので、やや強引ですが。

「文化的な活動」

いつもすごく大ざっぱに「文化的な活動をしている人を紹介しています」と説明していますが、じゃ、文化的活動って何?っていう疑問が湧いてきますね。実際のところなかなか明確な線引きはできません。

ある意味、人間の活動はすべからく文化的、と言ってしまうこともできるので、定義はなかなか難しいです。

定義しづらいので、実例から導き出してみます。これまでご紹介してきた文化的活動をリストアップしてみると、だいたい次のように分類できます。

  • 芸術・文芸系
    (画家、造形作家、音楽家、役者、小説家など)
  • 社会福祉系
    (福祉系団体・公共施設の代表や現場第一線で働く方など)
  • 町おこし系
    (お祭り・イベント主催者など)
  • お出かけ系
    (博物館、公園ほか、文化・レジャー施設のスタッフなど
  • 環境系
    (環境保護団体の代表など)
  • スポーツ系
    (スポーツ選手、スポーツ指導者など)
  • ビジネス系
    (社会性・新規性・独自性の高い事業の起業家など)
  • アカデミック系
    (大学教授、研究者など)
  • 珍しい職業系
    (いろいろ)

それぞれ、本業でやっている人もいれば、アマチュアやボランティアとして取り組んでいる人もいました。

これまでの傾向としては、アーティストや福祉系NPO団体、公共施設・観光施設など、このリストの上のほうに出ているタイプの活動が多かったです。市民が直接訪れたり、利用したり、コンサートや展覧会などで目にする機会が多いような活動は、私たちも見つけやすいし、依頼もしやすいので、必然的に多くなります。

ただ、これらの枠に囚われるつもりはありません。

長年やってきて、どんな人でも聞けば面白いストーリーを必ず持っているんだ、とつくづく感じます。極端な話、駅前で最初にやって来た人に声をかけてお話を聞いても、理論上は記事になるのです。
(ちなみに、新富士駅で外国人観光客に声をかけて取材する「フジサンタカイネ」は、ほぼそれに近いことやってます。)

さすがにFace to Face Talkで「駅で声をかける」というところまでドラスティックにやる勇気はありませんが(取材を受けるほうだって、取材される理由がないと困りますから)、これからは新奇性や公共性に囚われず、今まであまり取り上げてこなかった分野の人たちにも積極的に会いに行きたいな、と思っています。

「継続的にやっていること」

私たちは、継続性を大事に考えています。

ときどき地元新聞などで「これは面白いかも!」と思う新しい活動の記事を見かけますが、慌てて飛びつかずに少し時間をおいて、その活動がその後どのように展開していくのか様子を見ます。

私たちは、「話題性のあることを大々的に仕掛けて、メディア露出やSNSでの拡散を狙うマーケティング的仕掛け」みたいな、一過性で目立ちたがりの打ち上げ花火が好きではありません。

そもそも私、これでも元々がマーケティング畑で中小企業診断士でPRプランナーなので、そういうのはさんざん見てきて、理屈も知っています。だからこそ、その人工的に仕立て上げられた虚構性が見えてしまうのです。

10年前にPR会社で企業PRの仕事をしていたときは、そういうのよりももっと地味で地道な、企業が長年に渡りコツコツと行なっているような、よりよい社会を生み出すような努力を世に伝えることが主な専門分野でした。今で言うSDGs(持続可能な開発目標)の分野ですが、当時はCSRコミュニケーションと呼んでいました。根底にあるのは「まじめに正直に社会と向き合う企業にこそ価値がある」という考え方です。

ただ、「いかにもな仕掛けは好きじゃない」とは言っても、もちろん読んでくれた人のアクションにつながるような、あるていどの告知効果は意識します。たとえば年に1度のお祭りイベントを主催する人を取材するなら、当然そのイベントが終わった後のタイミングで紹介しても意味がないですから。

「Face to Face Talk」は、その人がどのように生きてきて、どうして今の活動に至ったかという「人生の時系列」という視点を大事にしているので、ある程度の連続性のある時間軸が、ストーリーを描くうえで必要なのです。


さて、3回に渡ってFace to Face紙のメインコンテンツ「Face to Face Talk」について書いてきましたが、語りだすときりがなくなりそうなのでここらで一旦区切りたいと思います。なんか大事なことを書き忘れているような気もしますが、思い出したらまた書くかもしれません。

ここまで長い文章におつきあいいただきありがとうございました。ここでこっそり、「Face to Faceが取り上げるべき人を知っています!」という方がいた時のための窓口を紹介します。

Face to Face Talkアンケート
「富士地域で活躍している人を教えてください!」

前にも書いたとおり、アンケートがきっかけで取材に至ったケースもけっこうあるので、実験的に情報投稿窓口をつくってみました(※実験なので、いつまで運用するかは分かりません)。情報を寄せてくださいと一方的にお願いするだけなので大変厚かましいとは思いますが、世話好きのあなた、気が向いたら、あなたが知っている富士地域の文化活動人のことをぜひ教えてくださいね。

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