今、Face to Face紙面で「Piece by Piece(ピース・バイ・ピース) コロナの世の中に思うこと」という、読者の皆さんからの投稿を掲載するというコーナーをやっています。
もともとは2017年10月号〜2018年9月号まで1年間やっていた、富士地域での暮らしに関する声を拾い上げていく、という企画なのですが、コロナに揺れる社会の中で人知れず困っている人などのいろんな「声にならない声」があるのではないかと思い、復活させました。
双方向の意見交換なんてインターネット上ならば今や「当たり前」の話ではあるのですが、あえて紙でやることに意味があると思っています。
ネット上の意見交換の場には、Facebookのような実名でのつながりもあれば、まとめサイトのコメント欄のような匿名性の高い場所もあります。
こういった場では、「友だち仲間」だったり「考え方の親和性の高い人々」だったりといった、いわば「好きな人同士」の集まりが作られやすいため、いわゆる「エコーチェンバー」(偏った意見が同質な集団の中で共有されて、あたかも社会全体の総意のように見えてくる現象)が容易に起こる土壌があります。もちろん、趣味のつながりならばそれでもかまわないのですが、こと主義主張の話になると、それは多様な意見に対する不寛容さを潜在的に含んでいます。
紙媒体というのは、よくも悪くもそこまで細かくターゲットを絞ることはできません。『Face to Face』の読者でいえば「富士地域に縁があること」だけしか共通点がありません。あとは「文化的活動に興味がある」「新聞を読んでいる可能性が高い」といった傾向があるくらいです。
だから、ゆるやかな共通点を持ったいろんな立場・年代の人の意見を拾い集め、「へえ、そんな見方もあるんだ。今まで考えたこともなかったよ」と、寛容な態度で受け止められるコーナーをつくりたいと思って始めました。何よりネットと違って、多少変わったことを書いてもすぐに反論されて叩かれたりしない。よい意味で反応が敏感すぎないのが紙のいいところです。
この「Piece by Piece」という企画で大事にしたいと思っているのは、「当事者感覚」。第三者的な立場から考える正論よりも、街での生活のなかで自分自身が感じた思いや困りごとのほうが、当事者としてのリアリティがある。一人称で語られたものほど、強いものはないと私は思うのです。
そんなPiece by Piece。企画の性質上そんなに応募が殺到するような企画ではそもそもないのですが、それでも今回は思いのほか反響がありました。紙面のスペースの都合もあって5月にいただいた声もまだ紙面で紹介しきれていないのですが、8月発行の号にまた掲載します。
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今回の募集より、「コロナ」縛りをなくしましたので、コロナに関係ない話でもOKです。
ご応募お待ちしています。