マジシャン・オイルさん撮影

6月中旬のとある土曜、自粛ムードも一段落しつつある中、静岡市の繁華街にある「手品家」に撮影に行ってきました。Face to Face Vol. 164に登場のマジシャン、オイルさんの経営するお店です。

接待やパーティーの2次会か3次会で行く、すでにほろ酔い加減の一行が親密においしいお酒を飲むための場所。
ジャンルで言えば「夜の街」という分野に入るでしょう。コロナの影響をもろに被った業種のひとつです。
もちろん夜のお店といっても、「手品を見て楽しんでもらう」ことがサービスです。接客する女性が出てくるタイプのお店ではありません。

壁に書かれたメッセージ。
女性のお客さんもいっぱい来ているようです。
繰り返しになりますが、女性の接客目当てにくたびれたおじさんたちがやってくる店ではありません。

Face to Faceの表紙は、「ありがち路線から離れる」ことをコンセプトとしています。その職業名を聞いてすぐに思い浮かぶような絵は、なるべく避けます。

だけど今回は、あえて直球勝負。マジシャンとしていちばん典型的な「ステージ中の姿」をメインに行くことにしました。

なぜ直球勝負にしたのか。

撮影に乗じてオイルさんの手品を見たかったから、というのもちょっとはあります。はい、目の前で見せていただいて大変得しちゃいました。

こんなのも出てきちゃいました。

マジック用ハト

どおりで店の奥からずっと「くるっくー、くるっくー」とバーに似つかわしくない音が聞こえてたわけです。

でも、直球なのにはもうひとつ理由があって、そこにマジシャン特有の「固定観念を踏襲してこそ成り立つ世界観」があるからです。

マジックといえば誰もが、ハトやトランプ、そして独特なステージ衣装を思い浮かべます。

その、ある意味ありがちでお約束な小道具があってこそ、見る側も「ああ、これから不思議なマジックを見せられるんだ」という、期待感というか心の準備が整うんだと思います。

逆に、電車の向かいに座ったふつうのサラリーマンが目の前で突然ハートのトランプをスペードに変えたところで、「え?今の何?なんかした?」と意表を突かれるだけで、エンターテインメントとしては成立しません。

こういういかにも手品っぽいムード感があってこその手品です。

私はお酒を飲まなくなってずいぶん経ちますが、ちょっとこれは仲良い友だちとほろ酔い加減で見に行って、おいしいアイリッシュ・ウイスキーでも飲みながら、マジックに驚かされたり軽妙なステージトークにみんなで大笑いしたくなりますね。

ちなみに手品と同じくらいびっくりしたのは、写真をよく見ると分かるオイルさんの「サンダル履き」へのこだわりでした。そういえばインタビューの日もこうでしたっけ。

(追記7/11)
本番では、ちゃんと革靴です。別に出落ちネタではないと思います。
ふだんサンダル履きなのはきっと、「ステージモード」への意識の切り替えのため。試合前にメンタルを集中する儀式を行うプロスポーツ選手と同じです。

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