コロナ第一波真っ最中の5月14日、うちの会社の名前を変えました。
うちの会社というのはつまり、地域情報紙『Face to Face』の編集・制作を担っている旧社名/株式会社新聞堂総合研究所(屋号/フェイストゥフェイススタジオ)のことですが、この度「コンテクスチュアリー・コンテンツ・スタジオ株式会社」と名を改め、再出発することにしました。
こんなタイミングで商号変更すると、なんだか世の中の大きな変化に刺激されて急に思い立っちゃったように受け取られそうですが、別にそういうわけではありません。ちゃんと計画どおりです。5年越しですが。
そう、この5月でちょうど会社設立から5周年。
これまでFace to Faceの編集制作というのが仕事の大きな柱でしたが、そこで培ったストーリー作りのノウハウを活かしてクライアントさん向けに提供する、Webサイトや紙の宣伝ツールづくりの仕事もおかげさまで増えてきました。
Face to Faceのコンテンツというのはある意味、実利性と効率性を重んじるネット時代のトレンドの逆を行っています。気軽に読むにはちょっとばかり文字が多いし、お得情報がいっぱい載っているわけでもないし、最新ニュースが手っ取り早く得られるわけでもありません。
そのかわり、じっくり腰を据えて読んだときに、読者が自分自身の目線でそれぞれ違った何かを感じることができる、という点にこだわってつくっています。私たちのインタビュー記事では、たとえば対象が「変わった職業の人」であっても、その職業のユニークさを紹介することで「へぇ、面白い人だね」と思わせることが主題なのではありません。私たちが本当に伝えたいのは、むしろ「へぇ、私と同じだ」ということ。その一見変わった職業を選んだ人の生き方と読者自身の生き方の間に共通して存在する、普遍的な人間観みたいなものなのです。
この「普遍的な人間観を共有すること」というのは、社会学でいう「物語(ストーリー・テリング)」の機能です。どんな知識でも調べればすぐに答えが見つかるネット時代には、情報をそのまま答えとして提示するほうが簡単で、物語を介して読者の想像力に委ねるという手法はある意味とても遠回りかもしれません。だけど人間にとって、本当に心に残ったり影響を受けたりするのは、やっぱり物語を通じてなんだと思います。
それは小説やインタビュー記事だけの話ではなくて、会社やお店のメッセージづくりでも同じこと。良質な企業ストーリーを紡ぎ出すために必要な話の縦糸、つまりその事業の背景にある文脈=「コンテクスト」をクライアントと共有することにPR会社/編集制作会社としてじっくり取り組みたくて、「コンテクスチュアリー」=”Contextually”という社名をつけたのでした。
ちょっと長い英単語の社名ですが、以後お見知りおきをいただければうれしいです。